2月17日。先日幹スギさんよりご紹介頂きました、杉の美しいオブジェを作られた有馬晋平さんを訪ねてウララさんと佐賀県唐津市厳木(きゅうらぎ)町に行って参りました。
ご紹介頂いた作品の写真にとてもインパクトがあり、是非実際に見てみたい、そして触ってみたい、と思っていたことと、ご実家がかつて造り酒屋だったということで残っている酒蔵や、茅葺民家、古民家を見せて頂きたかったためです。 1月24日付けで有馬さんご本人によるご紹介記事を掲載しておりますので、そちらをご参照下さい。 この作品を見れば根気の要る丁寧なお仕事をされている方だということは素人の目にも明らか。どんな職人気質の方が出てこられるのかと思っておりましたら、登場されたのは人なつっこそうな爽やか青年。それが有馬さんでした。(職人気質の方が爽やかではない、というわけでは勿論ないのですが!) 丁度前日からお泊りされていたお客様を見送るところ。間髪入れずに私達がお邪魔してしまったのにも関わらず、とても丁寧に、ゆっくり時間をかけて家の中を案内して下さいました。 稲香亭<江戸後期建築> 50年近く人は住んではいないそうですが、非常に綺麗に手入れがなされています。 (左)玄関開けるとこうなってます。 (右)土間。とても広く、かつてはどれだけ多くの人が出入りしていたのか、その様子が伺えます。囲炉裏が作られていて、実際に前夜にお客様が宿泊して使われたそうです。素敵な空間ですね。 茅葺屋根の内側。初めて見ました。20年に一度張替えを行い、定期的にメンテナンスもされているそうで、作業をしてくださるのは70,80代の職人さん。その技術は後々まで引き継がれるのでしょうか・・。 母屋・酒蔵<明治初期建築> 2箇所ある井戸は現在も使用しています。左は茅葺民家用。右はかつて酒造りに使われていました。 杉道具がざっくざく。福岡県津屋崎の豊村酒造さんの蔵で見た杉道具や、日田のマルマタ醤油屋さんでご紹介された秤などの道具もありました。 (右)かつて造っていたお酒は国内でも数々の受賞暦があります。これは賞状代わりに贈られました。 (右)立派な煉瓦煙突。 (左)この柱は6角柱。しかも大黒柱なのです。かつてはこの窓向こうまで建物が続いていたそうです。今は形を変えていても、柱が昔の様子を物語ってくれます。 昔の道具がそのまま残っています。写真は撮り損ねたのですが、床柱、鴨居や欄干など色々な所に美しい彫刻が彫られていました。そのせいか昔対になっていた2本の柱の一本が盗まれる、ということまであったそうです。他にも盗もうと努力した跡がついている!柱までありました。 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + ありました、ありました。あの杉のオブジェ達が次の展示会の為に集合しておりました。 様々な形があって、どれも触ってみたくなります。実際触らせて頂き、その中でもしっくり手になじんで 可愛かったお気に入りを一つ購入させて頂きました。 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + モノづくりというのは有馬さんがされていることの一面。これだけの作品を作っているのでよっぽどの「こだわり」があるのかと思っていたのですが、大学時代「教育」からこの世界に入っていったからか自分の作品を創りたい、残したいという気持ちは現時点ではそれほど強くないらしいのです。 学生の頃から続けていらっしゃる造形・アートワークショップの活動写真を少し拝見しましたが、子供達相手にそれはそれは自由で大胆な創作活動をされていました。その時も、自分が作った作品をそのまま残したい、というよりもご自身が作った作品を子供達が気持ちいいぐらい思いっきり壊してまた自由に彼らの手で創り始める、その姿を見るのが好きだったそうです。 この杉のオブジェもどうしても杉にこだわりたかったわけではなく、素材としてよかったから杉を使用したとのこと。なるほど、自然な流れで使ったからか、実際に素材の良さがとてもでていますね。 もうひとつ取り掛かっている大きなプロジェクト。それは江戸時代後期、明治時代から残る茅葺民家や蔵を活用し、維持していくこと。もっと人が集まるところにしたい、活気を取り戻したい、その為に何ができるかということを模索していらっしゃいます。最近ではライブ等のイベントスペースとして、個展を開いてギャラリーとして利用するなど、新しい活用を始めています。 有馬さんが学生時代から過ごした大分から実家に戻ってきたのは昨年のこと。色々考えることはあるけれども、まだ実になってないのですよ、というお話にウララさんが「まだ一年。この家たちが重ねてきた歳月に比べれば本当にわずかな時間ですよ。」と返しました。 「でも、その一年は僕にとっては大きいんですよ。」そうおっしゃった有馬さん。なんだかその気持ちも分かる気がします。流れは違えどもどっちにとっての一年も同じぐらい大事な時間ですから。 200年以上生きてきた家を守ること。その先も残していかなければならないこと。残していきたいこと。その為に自分が何をできるのか。例えば有馬さんがここ数年で行うこと。それが有馬邸の命を何十年も、何百年も延ばしていけることにつながるのかもしれません。 でも気負い過ぎることなく、うまく力を抜いている様子も伺えますから、きっと長い未来を思いながらも、今できることをひとつづつこなしていきつつ、有馬さんなりに道筋をつくっていってくれるような、そんな気がします。 実際フットワーク軽くあちらこちらに飛び回り、色々な人とつながりを創っていっている最中のようですから、いつかきっとそのつながりが実を結ぶことになるのでしょう。 結局3時間近く居座ってしまったでしょうか。6月には蛍がたくさんいて本当に綺麗だから是非また来て下さい、そう優しそうなお父様と共に声を掛けて下さいました。 日常的に人が集まるようなところにしたい、そうおっしゃっていましたが、蛍が舞っていない時でも、この日のように雪がチラつく寒い日でも、ふらりと立ち寄りたい、有馬邸はそんなところです。また是非お邪魔させてください。 有馬さん、お父様にはお忙しい中楽しいお話をたくさん聞かせていただきました。それから今回の訪問に至るまで幹スギさん姉妹にも間に入ってもらい、色々とお世話になりました。 皆さん本当に有難うございました。 □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ 《「スギダラ棒は見た」シリーズno1》 有馬さん宅のすぐ近くには厳木町の道の駅があります。そこを目指して行ったのですが、そこに立っているのが巨大な12mの佐用姫像。 (「松浦佐用姫」の物語。恋愛関係にあった青年武将の大伴狭手彦が百済の救援に向かおうとしている軍船に向かって、鏡山の上で身にまとっていた領布を打ち振り、別れを惜しんだ。その後七日七晩泣き続け、ついに石に化したというもので、日本三大悲恋物語の一つ。厳木町はその佐用姫の生まれの里と言われているそうです。) <参考写真:道の駅厳木より> <佐用姫とスギダラ棒> 「なんだかとてつもなく大きいなぁ。」 食い入るように佐用姫を見つめるスギダラ棒。 「あれ?・・・・。」 「回ってる・・・・・。」 絶句するスギダラ棒。 佐用姫像が回っていることに気付いたときはかなりの衝撃が走りました。 悲劇の主人公を12mにまで巨大にする必要があるのか、という素朴な疑問すら吹き飛びました。何故回す必要があるのか・・・・。道の駅の人に聞きましたが、「分かりません。」とのこと。真顔をして領布を振りながら365度まわる佐用姫。良くも悪くもこんなにインパクトを持つ像はそうそうないでしょう。ちなみに有馬さんは「直視できません。」とおっしゃっていました。私達は結構気に入りました。。
by sugikyu
| 2008-02-18 23:41
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