つい先日ぼんやりとバスに乗っていたら工事現場の周囲を木で囲った現場が目に飛び込んでまいりました。ビクッと反応して急いで窓の外を凝視しましたが、あっという間に通り過ぎてしまうし、夕方で見難い。しかもすぐ次のバス停で降りる、という機転もきかなければ、そんな瞬発力もありません。ちらっと見えた木の囲いは有楽杉(うらくすぎ)(月刊杉5号をご覧下さい)に似ていました。そう、sugio様が仕掛人である、東京の有楽町駅前広場の再整備の現場を杉で囲った、あの有楽杉に。
というわけで気になってしょうがなかったので、日を改めて現場に行って参りました。場所は福岡市内の中心街、天神のすぐ近くの渡辺通り。九州電力本社ビルの隣の工事現場。やっぱりありました。 そこは九州電力本社の再開発地帯で、囲っている材はやはり杉でした。 ここの杉囲いはオール杉ではなく、広告スペースもあるというところが、なんというか、現実的な感じもしますが、せっかくの杉囲いの雰囲気を大きく壊すものではなく、間に緑をはめ込むような工夫もされています。 よくよく見ると、解説パネルがはめこまれています。それは九州電力の関連会社で社有林を管理している九州林産の杉材を使用している事、循環型社会の形成を目指して、資源の有効利用をしている事等が書かれてありました。 九州林産さんには、昨年山林見学、FSCの年次審査の見学等で湯布院事務所の林業課の皆さんに大変お世話になっています。特に親しくして戴いている木下さんは、まちの人に木の良さを広めたい、と熱心におっしゃっていました。その木下さん達が大事に大事に管理していた杉が、今福岡市内の自分の目の前にある。それだけでもう、なんというか、とても嬉しくなってしまいました。 ←ここの杉囲いの間には緑があります。 →解説パネル。 山の循環について書かれています。ここで九州林産さんの名前を見つけた時は嬉しかった! 休みの日とはいえ、結構な数の人が行きかうこの通りで、ひとりパネルを覗き込んだり、携帯で写真を撮ったり、怪しいことこの上ない。好奇心はあるけれども小心者の私は、妙にコソコソしてて、それがまた怪しさを際立たせたのでしょうか、行きかう人が怪訝な顔を向けます。で、この人何見てるのかしら、ってな感じで杉囲いを見る。パネルを見る。そんな方が何人もいらっしゃいました。きっかけは何であれ、数人の方が杉囲いの存在に目を向けてくれた、ということだけで、私の怪しい行動も少しは役に立ったのではないでしょうか。(←都合のよいように解釈。ものは考えようです。) この杉囲い、ぐるりと全体を覆っているわけではなく、大通りに面した所だけのようですが、それでもしっかり存在感はあります。後で木下さんに問い合わせたところ、この杉囲いを設置したのは、林業部ではなく緑化部だそうで、有楽杉の存在を知っていたのではないようので、たまたま偶然仮囲いに杉を使う、という同じ発想をされたのではないか、とのことです。 工事現場の仮囲いは安全面から保護する、現場を見えないように覆う、という役目だけでなく、場所によっては大きな広告塔並の役目を果たせるスペースがあります。せっかくですから、こういう場を利用して企業は環境経営をしていることをどんどんアピールしていったらいいと思います。 杉囲いはその役目をしっかり果たします。 月刊杉で有楽杉についてsugio様が書いていらっしゃるように、素材はどこにでもありますから、これは日本全国あちらこちらで応用できることです。実際福岡にも一つできました。(実は知らないだけでもっとあるかもしれません。) これから各地で、地場の木材が利用される仮囲いを普通に目にするような日も遠くないかもしれません。 ちなみにこの杉囲いは平成20年の3月まで設置予定だそうです。 ホント言うと工事現場だけでなく、色んなものを囲んで欲しいです。 前々から思っていましたが会社内にも欲しい。誰かを囲い込む、というのも有りですが、せっかくなら自分が入りたい。疲れた時の「そっとしておいてください」スペース用に。そしたら私は暫く出てこないだろうなぁ・・。でもきっと元気になって出てこられると思うのですが。
by sugikyu
| 2007-03-04 23:53
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